コラムNo.12 「会議を成功に導く要素とは?」

多くの組織で日常的に「会議」が行われますが、会議で意図した成果を得るためには、
どのような要素が必要でしょうか。

例えば、

  • 会議の目的やゴール設定が明確か
  • アジェンダ(議題・検討事項)が用意されているか
  • 効果的なリードができているか
  • 結論と行動計画は明確かつ充分か

などは最低限必要な要素と言えるでしょう。

私が会社員の頃、最初に会議の運営方法を教わった上司は、
「○○さんは本当に会議の進行が上手いですね」と
他社の方からも賞賛されるぐらいの腕前を持っていました。

その上司から、当時口すっぱく言われた事は、
『会議を行う際は、事前にゴール設定とアジェンダをしっかり考えなさい』でした。
私なりにゴールとアジェンダを考えて「これでいいですか?」と確認を求めると、

「この結果を得るために、検討項目はこれでいいの?流れは?」と、
何回もダメだしされたことを思い出します。

会議のリードの仕方も随分参考になりました。
予め設定したシナリオ通りに進むことは稀でした。必要資料の差替えやデータの見直し、
予定外の質問や発言への対応など、状況に応じた行動や発言が常に求められ、
緊張感が途切れることはありませんでした。

しかし、最後には決めるべき事はきっちり決まっていて、多少の驚きと
何とも言えない爽快感が得られたものです。

今から振り返れば、ゴール設定とアジェンダが明確な事はもちろんですが、
その上司は、状況を的確に捉える観察力と会議のプロセスに応じた
柔軟なリードをされていたと気づかされます。
そして、結論を必ずリマインドし、行動に向けた同意を取っていました。

さて、私自身ですが、チームコーチングに出会ってから意識することは、
常に現状を的確に捉えること。
そして、欲しい成果に結びつける流れ・プロセスをいかに効果的に(操作的でなく)
デザインするかが重要だと感じています。

先日、ある会議に参加者の立場で出席した時のことです。
会議が始まり「ゴール設定とアジェンダ」は共有されました。

しかし、発言が促されず、場のエネルギーも一向に上がらない状態が続きました。
そこで会話の中味よりも、どんなプロセスで会議が動いているのか、
互いのやり取りに意識を向けて観察しました。

すると2つの事が見えてきました。
1つは、各自の発言がゴールに向かっておらず、思い思いの意見が交錯している状態。
もう1つは、司会者(ファシリテーター役)が問いかけて参加者が答える形の一問一答式の
やり取りが会話全体の7~8割以上を占めていること。

このままだと収拾がつかない事も予測できたため、流れを変えるべく発言しました。
「今までのやり取りを聞いていると、各人の思いがある事がわかりますが、
一問一答のやり取りが多くて、なんとなく場の雰囲気が硬いなぁと感じています…。
それと、今の○○さんのお話はとても興味深かったです。詳しく聞かせて頂いてもよろしいですか」

この一言により、会議の現状(対話が進行役との一問一答になっている状況や
思い思いの発言が繰り返されている事)に参加者の何名かが気づくきっかけとなり、
他者の発言を受けて、自己の発言をされる方が目立ってきました。

そして、前向きな意見が重なることで場の雰囲気も活性化し始め、目標時間よりも早く
次のアクションも含めた合意形成を創ることが出来たのです。

意図をもったアプローチが、うまくいっていない現状を抜け出すきっかけになることを、
今回の体験から改めて実感しました。

そして、そのアプローチをベストタイミングで行なうスキルを持っているのが、
我々チームコーチなのです。

今日も多くの組織で会議が行われていることでしょう。
会議で意図した成果を得るためにどんな要素が大切なのか、
自分なりの着眼点や持論を改めて整理されてみるのは、いかがでしょうか。

<文責:染屋光宏<


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