チームコーチングの基本的なプロセス

チームコーチングを導入する目的は、組織の状況やニーズによって異なります。また、トップマネジメントチームなのか、組織変革のための特別なミッションをもったチームなのか、営業チームなのか、商品開発チームなのか、あるいはプロジェクトチームなのかによっても異なります。

 

ここではチームコーチングの基本的なプロセスを3つの側面からお伝えします。

1.現実と向き合う

多くの組織は、「本当に起きていること」、つまり表面的な問題の奥に潜んでいる真相と向き合う時間を作っていません。そんなことに時間をかけるよりも、目の前に迫っている問題を解決したり、目標達成のための活動に取り組んだりするほうに意味があると考えているからです。それは、あながち間違いではありませんが、本質的な問題に向き合うことなく、表面的な問題解決に日々あけくれているという点で、より大切なことを失うことがあるのです。それは組織のダイナミックな進化を阻害しているということです。ときには本当の問題として、グループのメンバーが上から与えられる数々の目標や施策、顧客から寄せられる数々の難題に日々取り組んでいるとき、自らの「やらされているという被害者意識」がまさにその問題となっている現実をつくりだしているということもありえます。それが問題の真相の一部をなしているならば、そこにブレイクスルーを起こさない限り、同じような問題が繰り返し起きてくることになるでしょう。

2.問題解決に向かう

本質的な問題が明確になり、それと向き合う覚悟が定まると、成果に向かう意欲が湧き上がってきます。その意欲を実際の行動に移していくのが次のステップです。ところが、うまくいくこともそうでないことも出てきます。それらと何度も向き合うことで、チームとして成果に向かう機能が高まります。今までに出たことの無いような本音の話が出たり、お互いを深く理解し合えたり、「あ・うん」の呼吸で仕事ができるようになったりしていくのです。お互いの息が合ってくるというプロセスでもあります。そして、同時に、いくつかの成果を手にするようにもなります。それまでは「できない」と思っていたことがうまくいったり、成果に向かうスピードも速まっていきます。

3.さらに大きなシステムへ影響を及ぼす

意欲が高まり成果を手にし始めると、仕事への意味づけにも変化が出てきます。自分が何故この仕事に取り組むのかが、明確になってくるのです。その過程で、やらされ感は消えて主体的行動スタイルに変容し、人は仕事の先にビジョンを見ます。そして、チームとしてビジョンを掲げることで、自分達の枠組みを超えて、さらに大きなシステムに貢献する意欲が湧き上がるのです。 また、価値ある成果を達成するためにチームになることを目指し始めると、人はお互いのかかわりや目標やビジョンに本当の意味で向き合い始めます。そして、そのことを通して自分の生き方や仕事のやり方を変えていくきっかけをつかむのです。日常の仕事に取組むことから、人生における学びと成長さえも手に入れられることを知るのです。このように、チームコーチングは、あなたとあなたの仲間を成果に導くダイナミックなプロセスといえるでしょう。

チームに向かう道筋は、あらかじめ決められてはいません。プログラムの参加者とチームコーチが一緒に見つけていくのです。それでも道に迷わないのは、チームコーチが、参加者に適した道を見つけるための豊富な経験と高いスキルを身につけているからなのです。