チームコーチングの理論的背景

私たちは理論や知識を教えるのではなく、実際のチームコーチングを運営し、クライアントが期待する成果や肯定的な変化を生み出すためのチェンジ・エージェントです。その運営はいくつかの理論的背景に基づいてデザインをし、実際の現場経験で実証された有効なプロセスのリードを行っています。

1.コーチング・サイコロジー

欧米豪などでは「コーチング心理学」が探求されています。コーチングとは人間の自己実現に焦点を当てたコミュニケーション技法ですが、それだけに人間性重視の伝統に基づく多くの心理学をベースにしています。古くはアメリカのウィリアム・ジェームズの心理学、そしてA・H・マズローが創始した人間の「成長する可能性」を中心的概念とする人間性心理学、それによって影響を受けたであろう最近のアメリカでの心理学の潮流ともいえるM・セリグマンに代表される「人間の強さ」を中心的概念とするポジティブ心理学、あるいはポジティブ心理学の中心的研究者の一人であるミハイ・チクセントミハイなどによる「フロー理論」などはコーチングの有効性を支える心理学です。

私たちは人間の肯定的な側面に光を当てた様々な心理学をベースにしたコーチングを実践しています。私たちが実践するスキルの体系としてはPHP研究所「PHPビジネスコーチ養成講座」(ベーシックコース、アドバンスコース、チームコーチングコース)を共通の基盤としています。

2.グループ開発段階理論

チームコーチングではグループ・ダイナミクスを重視します。グループの成長は一般的に5つのステージで説明することができます。第1段階は「導入の段階」、次に「不満の段階」、続いて「解決の段階」、そして「生産の段階」、最後に「終了の段階」です。これらの5つのステージを有名なタックマン&ジェンセンのモデルでは、「フォーミング(形成)」、「ストーミング(混乱)」、「ノーミング(規範)」、「パフォーミング(実行)」、「アジャーニング(散会)」という5つのステージを表す名称で呼んでいます。

チームコーチングのプロセスでもこれらのグループの成長は段階的に起きてきます。 グループ内の対立や葛藤は通常のプロセスであるにもかかわらず、リーダーがこの段階を避けようと手を打つならば、結果的に学習に焦点を当てたグループになりがちです。しかし成果志向のチームに成長させるときには「ストーミング」を避けない方が良いのです。この段階をしっかりと乗り越えて強力なチームへと脱皮します。ワークグループで終わらせるか、シナジー効果で目覚ましい成果を生み出すチームに成長させるか、その選択を支える技能をチームコーチは有しているのです。

3.NLP(神経言語プログラミング)

一言でいえば、NLPは成功している人のパターンを一般化して、個人や組織に応用できるように開発された技術体系です。NLPの原型は1970年代半ばにジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーによって開発されました。バンドラーとグリンダーが興味を持ったのは、それなりに有能なコミュニケーターと超一流のコミュニケーターとの「違いを創り出す差異」は何かということだったのです。 「何が違いを創り出す差異なのか?」という問いは重要な問いです。なぜかと言うと、それによって私たちの行動を改善することができる変化の本質を知るのですから。ある状況でうまく成し遂げるために、どのように実行するのでしょうか。私たちは成功するパターンを発見して、それを必要としている状況でのパフォーマンスを向上させる支援を行います。

4.その他のマネジメント理論、リーダーシップ理論、組織論

企業や病院、行政などの組織の中で、組織変革や目覚ましい成果、あるいは本質的な問題解決を行うグループの支援を行うために、有効なマネジメント理論などは常に参考にしています。