彼らの一日当たり平均訪問件数は7.7社で、7人からなる営業部隊のメンバーが自分たちの営業部隊の活動は現在どのようなものか、議論し始めたとします。
Aさん「若い頃、営業研修で講師は『訪問件数は1日10件では少なすぎる』といっていた。うちの営業マンの行動量は少なすぎる」
Bさん「それは一般的な話に過ぎない。うちのデータはここ10年くらい8軒前後で推移している。だから、問題があるとはいえない。」
Cさん「そうはいっても効率化を常に考えることが必要だ。こんな傾向だからいいのではないかでは進歩も成長もない」
現状の評価は人それぞれ。互いに違いがあるようです。
こんな違いは訪問軒数だけに止まりません。
「初回訪問は好印象を作るだけでよく、突っ込んだ話は避けるべきだ」
「次の訪問につながるように必ず宿題をもらってくるようにしなければならない」
というように商談の中身についての意見も違っていたりします。
或いは「1週間の行動予定は事前に作っておくべきである」
「予定を作ってもその通りには行かないものである。よって期間のある予定を作るよりも翌日の行動計画に計画つくりはとどめるのが良い」
というような行動計画に作り方についても違いがあったりします。
このような違いはどこから生まれるのでしょうか?
それぞれの人が持っている無意識のフィルターが違いを作っているといわれ、
そのフィルターはその人のこれまでの体験や受けた教えなどから違ってくるといわれています。
人はそのフィルターで目の前で起きている事象をえり分けて捉えています。
一つの事実が、ある人には重要なことでも、ある人には無視されたりします。
自分が良いと思うことは取り上げ、悪いと感じるものは無視したりするわけです。
つまり「今皆さんの目の前ではどのようなことが起きていますか?」という質問への答えはそれぞれの人が違う答えを出すということです。
このことはメンバーが感じている「今自分たちはどこにいるのか?」ということにも違いがあるということになります。
ところで、チームがチームであるには、チームのメンバーが同じ目標を共有していることが前提になります。
ところが同じ目標を持ったとしても、現時点の捉え方が違うと、
「現時点からから目標までの距離」は一人ひとりが違って感じることになり、それぞれのモチベーションの高低は違ったものになります。
それではチームの一体感は高くなりません。
「同じ目標を共有する」というのはこの距離感をも共有していないと、共有していることにならないということになります。
よって、現状を確認しあう作業は、メンバーが持っている良し悪しの判断基準を、それぞれが横に置いて、
「今、自分たちの目の前で、或いは周囲で何が起きているか」を洗い出すことが極めて重要なことになります。
この作業のリードは、習熟が必要になります。チームコーチの存在意義はこんなところにもあるのではないでしょうか。
<文責:今給黎 勝<