多くの組織で日常的に「会議」が行われますが、会議で意図した成果を得るためには、
どのような要素が必要でしょうか。
例えば、
- 会議の目的やゴール設定が明確か
- アジェンダ(議題・検討事項)が用意されているか
- 効果的なリードができているか
- 結論と行動計画は明確かつ充分か
などは最低限必要な要素と言えるでしょう。
私が会社員の頃、最初に会議の運営方法を教わった上司は、
「○○さんは本当に会議の進行が上手いですね」と
他社の方からも賞賛されるぐらいの腕前を持っていました。
その上司から、当時口すっぱく言われた事は、
『会議を行う際は、事前にゴール設定とアジェンダをしっかり考えなさい』でした。
私なりにゴールとアジェンダを考えて「これでいいですか?」と確認を求めると、
「この結果を得るために、検討項目はこれでいいの?流れは?」と、
何回もダメだしされたことを思い出します。
会議のリードの仕方も随分参考になりました。
予め設定したシナリオ通りに進むことは稀でした。必要資料の差替えやデータの見直し、
予定外の質問や発言への対応など、状況に応じた行動や発言が常に求められ、
緊張感が途切れることはありませんでした。
しかし、最後には決めるべき事はきっちり決まっていて、多少の驚きと
何とも言えない爽快感が得られたものです。
今から振り返れば、ゴール設定とアジェンダが明確な事はもちろんですが、
その上司は、状況を的確に捉える観察力と会議のプロセスに応じた
柔軟なリードをされていたと気づかされます。
そして、結論を必ずリマインドし、行動に向けた同意を取っていました。
さて、私自身ですが、チームコーチングに出会ってから意識することは、
常に現状を的確に捉えること。
そして、欲しい成果に結びつける流れ・プロセスをいかに効果的に(操作的でなく)
デザインするかが重要だと感じています。
先日、ある会議に参加者の立場で出席した時のことです。
会議が始まり「ゴール設定とアジェンダ」は共有されました。
しかし、発言が促されず、場のエネルギーも一向に上がらない状態が続きました。
そこで会話の中味よりも、どんなプロセスで会議が動いているのか、
互いのやり取りに意識を向けて観察しました。
すると2つの事が見えてきました。
1つは、各自の発言がゴールに向かっておらず、思い思いの意見が交錯している状態。
もう1つは、司会者(ファシリテーター役)が問いかけて参加者が答える形の一問一答式の
やり取りが会話全体の7~8割以上を占めていること。
このままだと収拾がつかない事も予測できたため、流れを変えるべく発言しました。
「今までのやり取りを聞いていると、各人の思いがある事がわかりますが、
一問一答のやり取りが多くて、なんとなく場の雰囲気が硬いなぁと感じています…。
それと、今の○○さんのお話はとても興味深かったです。詳しく聞かせて頂いてもよろしいですか」
この一言により、会議の現状(対話が進行役との一問一答になっている状況や
思い思いの発言が繰り返されている事)に参加者の何名かが気づくきっかけとなり、
他者の発言を受けて、自己の発言をされる方が目立ってきました。
そして、前向きな意見が重なることで場の雰囲気も活性化し始め、目標時間よりも早く
次のアクションも含めた合意形成を創ることが出来たのです。
意図をもったアプローチが、うまくいっていない現状を抜け出すきっかけになることを、
今回の体験から改めて実感しました。
そして、そのアプローチをベストタイミングで行なうスキルを持っているのが、
我々チームコーチなのです。
今日も多くの組織で会議が行われていることでしょう。
会議で意図した成果を得るためにどんな要素が大切なのか、
自分なりの着眼点や持論を改めて整理されてみるのは、いかがでしょうか。
<文責:染屋光宏<