コラムNo.5 「職場における意図的な自己と他者の活用」

皆さんは、日頃職場で自分自身をどのように活用しているでしょうか。どれぐらい意図的に自分自身を用いているでしょうか。そして、それ以前にどれぐらい自分自身を理解できているでしょうか。

自己理解という言葉をよく耳にしますが、自己をただ知るだけではなく、自己の強みも弱みも正当に認めていくことが、自己肯定感を高め、自己変革につながるとハーマンモデルの講義を受けた際にも聞きました。
自己理解の中で、強みを認めていくことは、多数の人にとって比較的おこないやすいことかもしれません。それどころか150%ぐらいに引きのばし、見てしま うこともありがちな気がします。また、研修を行っていると、必要以上の謙虚さで自分自身の強みをディスカウントしている人もいて、もったいないなと感じる ことがあります。
一方、弱みはというと、人は、弱みを知ることはできるが、向きあうことは苦しく、無意識のうちに知らないふりするという選択をしてしまいがちなのではない でしょうか。受け入れるレベルに達することは、かなり時間と努力を要するでしょう。そして、受け入れられていないから、次へ進めない。すなわち、改善行動 へは向かいにくいということを自ら引き起こしている気がします。

では、もし私たちが、自分自身の強みを意図的に使ったら、どのような変化が 起こるのでしょうか。個人としては、社会、組織へのより大きな貢献に繋がるでしょう。そして、チームとしてそのことを捉えた場合、個々の意識の変革が相乗 効果として外側に影響を与えるのではないでしょうか。
誰かがいつか自分の持ち味を生かしてくれると期待して待つのではなく、自分で自分の強みを活かすことにより、周囲の変化を引き起こし、あなたがチームを作るきっかけとなる。素敵だと思いませんか。
そして、そのうえで、一緒に働く仲間の強みに着目をし、他者の強みが発揮できる場を創り出すことができれば、さらに、各人が活かされていると感じることができ、その場で働くことに、より一層の強い意欲を持つことができるでしょう。

では、弱みに関しては、どうしていけばよいのでしょうか。一般的に、私たちは弱みを認識し、客観的に人に伝えることはできるようです。ただ、だからといっ て改善に向けて前向きに取り組めるのかというと、上述したように、それは少し違うようです。なので、個人で弱みを意識しながら、少しずつ改善していくこと はもちろん重要で取り組む必要はありますが、それに加え、仲間と共に弱みを強化していくことができればさらに効果的であるのではと考えています。
そう考えるようになった根拠として、私が見たチームを本気で作ろうと思っている人たちには、弱みの強化に二つの共通した特徴があるからです。ひとつは、な れ合いになるのではなく、他者の弱みを受容しながらも正当なフィードバックを相互に行っているということ。もうひとつは、他者の弱みには、さりげなく手を 差し伸べあっているという点です。
もし、私たちも仲間に対して、このようなかかわり合いができれば、相互に弱みを強化し、相互に自分自身を活用し合うことが可能になるのではないでしょうか。

もちろん、その前に、仲間と正直にフィードバックを行える人間関係の形成が必要であり、それを導き出すためにたくさんの時間の共有と、会話の共有が必要になるでしょう。また、何より個人として、自己を正当に理解する力と他者を理解し受け入れる力が必要となるでしょう。
いずれにしても、どんなに心の中で望んでいても、何らかの行動を起こさないと私たちは何事も変えていくことができません。せっかくこの世に生を受けたので すから、まずは、自分自身が源となり、強みを活用しながら周りの人に働きかけることで、あなたの周りにチームを作っていきませんか。

(文責 國弘隆子)


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