【チーム創りの視点】 No.3
夏はやっぱり甲子園!
球夏の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年も球児たちの夏がやってきました。今年も例年に劣らぬ熱戦が展開されています。皆さんは高校野球のどんなところに魅せられていますか?
私は高校野球の魅力は「チーム力」だと思っています。高校生達が力を合わせ、たった10日間の甲子園で、驚きを覚えるほど成長していく姿が人々を惹きつけるのではないでしょうか。
私達が見るその成長の過程は、実は、氷山の一角です。彼らのチームは、2年と4ヶ月かけてつくりあげているのです。
入学後、3ヶ月ほどで野球部のメンバーがほぼ固定されます。人間関係で躓いたり、体力的についていけなかったり、技術的に諦めてしまったりと理由は様々ですが同級生達が離脱していきます。残った者にわずかな、しかし確かな自覚が芽生えます。そして、わけがわからないまま先輩達の最後の夏を共に体感することで、高校野球に打ち込むことの価値を目の当たりにするのです。
その後も、指導者や先輩の理不尽な言動に憤りを感じたり、ボールに触れることもできず、試合もできない冬の体力づくりの時期に目標を見失ったりしながら自分達の学年のチームになっていきます。
そして、最後の1年間でチームは自分達なりに完成し、終わりを迎えます。チームの終わりが、時期も含め、明確に見えていることも、学生スポーツの大きな特徴です。そして、そのことがチーム力を高めていく原動力になっているように思えます。
県内での成果を手にし、目標を達成したチームが甲子園に集います。目標を達成したチームは自信を持っています。そして感謝の気持ちを持っています。チームへの貢献意欲も高く、なによりも無欲です。そんな中で、甲子園へきて、さらにチーム力が高まっていくわけですから人々は惹きつけられ、感動を覚えるのでしょう。
私は、自分の体験を通して、高校野球の「チーム力」が生まれる要素を次の6つではないかと考えています。
- 多くの同級生が離脱していく中で生き残った自信
- 先輩達が最後の夏を終えていく感動体験
- 成長期ならではの自覚できる体力・技術の向上
- 年齢と期間が限定されている
- 競技特性として役割分担が明確である
- 全くぶれることのない「甲子園」という目標がある
よく考えてみると、私達が、普段、仕事をしている『チーム』も高校生達と同じような要素をセットすることで、チーム力を高めることができるのではないでしょうか?高校生のように無欲になれば周りの人達に感動を与えられるようなチームをつくり上げられるかもしれません。
選手として、そして指導者として甲子園を目指し、ついにその夢をかなえることができなかった私は「高校野球」から学んだ事を組織の中のチームづくりに活かすべくチーム作りの活動を続けています。
甲子園を目指すような体育会系の「チームづくり」、皆様、いかがでしょうか。
<文責 鴨井 啓 <